ヨガ・スートラとは世界で最も学ばれているヨガの経典です
スートラとは『糸』を意味する言葉、本来は詩のひとつひとつ
その糸がより集まったものとして『経典』と言う
ヨガ・スートラのヨガは
- 瞑想によって悟りを得ること
- その中でも解脱と呼ばれる状態に達すること
- 解脱とはサンスクリット語でモークシャこれは解放と言う意味
苦しみからの解放あるいは輪廻からの解放を意味する - ヨガ・スートラの悟りは瞑想によって完全な安楽を実現し
もう二度とこの世に生まれ変わることのない究極的な状態を指します - これを解脱とか涅槃と呼んでいます
- この考えの基本にこの世で生きる事は苦しいものだと考えられているからです
私たちの3つの苦しみの原因
- 万物は常に変化し続ける
- 煩悩が絶え間なく苦楽の原因となるサンスカーラ(潜在印象)を生む
- 3つのグナは互いに相反する
私たちは世界が移り変わることを受け入れながら生きなければなりません
- 体が老いていくこと
- 人が生きて死ぬこと
- 大事なものが失われてしまう事
当然覚悟しなければなりません
しかしこのような変化を素直に受け入れることができないのです
万物は常に変化し続ける
実際に起こってしまう事
- 年齢とともにシワができたり髪の毛が薄くなったり
- 体の健康が失われていることを嘆きます
- 事故にあって車が壊れたり
- 災害にあって家が崩れたり
- 泥棒に宝石やお金を盗まれたりして落胆します
- また自分の親や友人ペットがなくなると泣いて悲しむ
およそこの世にあって失われないものなどないです
私たちはそれらに自然に執着を持ってしまいそれらが失われる苦痛から逃れることができないのです
煩悩が絶え間なく苦楽の原因となるサンスカーラ(潜在印象)を生む
過去の印象によって苦楽が生じています
このような心の相対性をサンスカーラ理論という
- 愛する人がいてその人が去って行ったり、亡くなったりすると苦しみになる
- 自分の嫌いな憎い人が去れば喜びになります。
心の苦楽は相対的に生じている
- 私たちはたくさん楽しい思い出を作れば人生は幸福になると思っていますが
- 苦しみの原因を作り出してもいるのです
人は喜びを追い求め、苦しみを避けようとします
若いうちに喜びをたくさん味わい、年とともに苦痛が増していく 結果的にこの世は苦しものになってしまいます |
このような状態を『スートラ』は無知とよんでいます。 |
3つのグナは互いに相反する
グナとは3つの性質
私たちの心の動きはこの3つの性質から生じます |
したがってこのグナの対立から人は互いに争ってしまうのです
例 自分が寝ているとき、 子供たちが自分の周りで遊んでいる
①純粋質と➁激動質のナグ同士の争いがおこる |
- ナグは私たちの本性なので、なくなりません
- 私たちの周りにはこのグナの戦いがそこら中で起きています
- これは本能なので世界から対立が無くなることはないのです
- 人は自らの心の性質によって苦しみを作り出し平安に達する事はありません
- このような状態を無知と呼んでいます
ヨガの苦しみから逃れる考え方
この苦しみの原因は。①見るものと➁見られるものとの結合である。
これを切り離さなければならない
①見るものが=プルシャ
➁見られるもの=プラクリティ
自分の中の
見るもの(プルシャ)が
見られるもの(プラクリティ)
心を通してプラクリティをみてしまうので
プラクリティに無知が生じてしまう=ここに苦しみの原因がある
プラクリティとプルシャを切り離すことにより苦しみから解放するのです
私たちは心の作用により世界を認識しています
一般的な考え方 | ヨガの考え方 |
価値観は世界の側で起きている | 価値観は人の心 自分の心にしか起きていない |
お金、高級車 宝石は価値がある | 自分の得た知識によって 宝石は価値あるものと認識している ため感情の変化が起きる |
世界は様々なものであふれている | 自分の心に生じた価値判断に応じて 苦楽が生じるのです |
- 瞑想によりこの心の作用を段階的に停止する
- 心の作用によって止まった世界を見るなら
- そこにはあるがままの世界が現れ
- 苦楽が生じなくなる
ヨガの
瞑想が深まると記憶や様々な心の概念の作用がなくなり
対象は形だけとなり
その実体はなくなりそれまで執着していた対象は、
石と宝石の違いがなくなっていくのです
プルシャとプラクリティが完全に切り離された状態
『カイヴァリヤ』とよびます
- この状態は完全に世界や心の作用がプルシャに影響しないので
- 苦しみが生じる原因はなくなり
- あらゆる心の作用がなくなっているので
- 再び産ませ変わることがありません
ラージャ・ヨガこのような状態を幸福の完成と考えています
(心でいくら喜びを生み出してもそれは苦しみの原因を生み出しているため)
プルシャの本性にとどまることが真の幸福とされています。
ヨガの経典
まずは知ることの意味について考えましょう
知識はその人の世界を大きく変化させます
- ヨガスートラ
- バガヴァッドギーター
- ハタヨーガプラディーピカー
- 直接経験すること
- 論理的な推理
- 聖典
に根拠がある場合に得られる
ヨガの呼び方と意味
- ヨガはインド発祥地の言葉
- 僧侶が古くから使っているサンスクリット語
- 現代ではヨガと短く発音をすることが一般的
- サンスクリット語のヨーガと伸ばす発音の方が本来の音に近い
- 現代では短く発音をするヨガで統一しています
『つなぐ』『結合』を意味する
古くは軛をつけると言う意味もあります 軛とは現代では見ることがありませんが馬夏に車を引かせるための木製の器具のことです私たちの心は動物のような性質があり おいしいものを見るとそれに惹きつけられ突然考え事をしてしまいます自分の思うようには動いてくれません そのような心に軛をつけてある方向に働かせることがヨガの実践の1つです |
つまり心が欲望や様々な不安によって勝手に動かないように制御し
魂の目的である悟りや慈悲へと向かわせるのです